05883-200514 オンライン授業後に学生が提出するReaction Paperに対するshioからのコメントをScrapboxに掲載して授業で扱うまでの手順を公開しました
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1998年に大学で教えるようになって以来、すべての(ゼミ以外の)授業で続けてきた「オピニオンペーパー」。 従来の「オピニオンペーパー」は2019年度の最後まで、下記のような手順でやり取りしていました。
授業開始前にshio.iconが持参した各大学所定A4サイズ用紙を教卓の周辺に置いておき、学生が1枚ずつ持っていく。
授業終了10〜15分ほど前に「本日のQuestion」を出題。
学生たちが万年筆などの「消えないインク」を使ってオピニオンペーパーに下記を記載する。
1. 本日の発言回数+本日までのトータル発言回数
2. 本日のQuestion
3. 本日の教科書
4. shioへのメッセージ
授業終了時刻に提出(ただし書き続けている学生もいるので可能な限り待つ。昼休みなどは最大30分ほど、書き終わるまで待つ)。
提出されたオピニオンペーパーの束(多いクラスは500枚超)を研究室に持ち帰り、すべてに万年筆でコメントを書く。
スキャンされたPDFをMacで開き、質問事項をcommand+shift+control+4で範囲指定してコピーし、次回の授業用Scrapboxに直接ペイスト(command+v)。 そのように学生が手書きした質問部分を画像として貼り付ける作業をすべてのオピニオンペーパーにわたって繰り返す。
次回の授業開始前に、教室後方の机(後方3〜5列は学生たちが座ることがない)にすべてのオピニオンペーパーを並べて置き、早く来た学生から自分のオピニオンペーパーを見つけて抜き取る。
授業開始後、上記質問事項を貼り付けたScrapboxページをiPad ProからApple TV経由で教室のスクリーンに表示し、一つ一つ、回答、解説を加えたり、学生たち全員と一緒に検討したりする。
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2020年度は4月の初回からオンライン授業として開講されたため、20年以上続けてきた上記の「オピニオンペーパー」を実施できない。そこで、クラウドに移行しました。実は、2017年にScrapboxを使い始めた時からデジタル化したいとは思っていたのですが、その一方で、司法試験が依然として手書き試験であるため、学生たちに万年筆で日常的に書く時間を持って欲しいとの考えから、あえて手書きのオピニオンペーパーを継続してきたのです。 もちろんshio.iconとしては、デジタル化された方が圧倒的に楽。毎回、オピニオンペーパーに使うA4用紙の束を2つ(前週に提出されてコメントを書いた束と、新たに書いてもらう白紙のペーパー)を教室に持参する必要がありますし、白紙のペーパーを持参し忘れたことに教室まで行ってから気付き、教務部まで取りに戻ることもありました。
紙は無駄。
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そこで「オピニオンペーパー」の仕組みをデジタル化し、名称も「Reaction Paper」と一新。紙のやり取りが無くなったのですから「paper」と名付けるのもおかしいですが、名称くらい紙時代の名残があってもいいかなと。
「Reaction Paper」の手順はこんな感じ。
授業開始前に成蹊大学のLMS(Learning Management System)「CoursePower」に下記2つの「教材追加」する。 1. 「レポート」機能を使い、「20200514のReaction Paper」を作成し、記載事項を下記の2点とする。
1. 本日の教科書
2. 本日のQuestion
2. 「アンケート」機能を使い、「20200514本日の発言回数とshioへのメッセージ」を作成し、下記2点の記載項目を追加。
1. 本日の発言回数(数値・回答必須)
2. shioへのメッセージ(回答任意)
それらの公開時刻(学生に通知されて学生がアクセス可能となる時刻)を授業終了10分前、回答期限を当日の23:59に設定し、履修者へのお知らせをonにして登録。
授業開始
初回の授業でReaction Paperの書き方などを学生たちに説明するとともに、Scrapboxに公開する承諾を得る(メッセージを非公開としたい学生は、メッセージ冒頭にその旨記載すること、と伝えているが、非公開を望む学生はほぼゼロ)
授業終了前に「本日のQuestion」を板書(板書はiPad Proで「GoodNotes 5」アプリにApple Pencilで描く画面をリアルタイムでZoomに画面共有) 当日の24:00以降(通例、翌日)、CoursePowerにアクセスして、上記両ファイルをダウンロード。
「アンケート」の回答ファイルを開く。
「shioへのメッセージ」部分をコピーし、エディタ(Jedit Ω)にペイスト。 (改行)を(改行 水平線 改行)に置換。
コピーして、次回の授業用Scrapboxにペイスト。
Scrapbox上で学生たちからのメッセージに回答、解説、コメントなどを記載。
次回の授業の冒頭で、質問に対する解説、検討など。
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メリット
従来は、質問事項以外の授業で扱わない感想等に対するshio.iconのコメントは本人に返却されるのみで、他の学生の目に触れることはなかったが、Reaction Paper方式にすることによって、全員が読める。
デジタル化することによって、紙の運搬、配布、回収、スキャンが不要。
デジタル化することによって、授業時間中に記載時間を取る必要がなくなり、その分、時間いっぱい、授業を行える。ただでさえ学生たちが異口同音に「100分があっという間だった」と言うくらい密度が濃く楽しんでもらっているので、時間を有効に使えるメリットは大きい。
デジタル化することによってshio.iconはタイピングでコメントを書くことができる。手書きよりも短時間で書けるから、それだけ記載内容を増やすことができる。
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実は4月の開始当初はScrapbox上にshio.iconからの回答は書かず、教室で口頭で回答するのみでしたが、それだとすべてを授業時間中に扱う必要があり、授業の進捗に影響が出る。そこで、学生たちからのメッセージを「質問」、「意見」、「感想」に分け、「感想」にはあらかじめコメントを書いておいて授業中には扱わないものとしました。
2020年度「民法2」各回の「shioへのメッセージ」とshio.iconからのコメントは、授業用Scrapboxに公開しております。
コロナ禍が収束し、オンライン授業から対面授業に戻った後も、この方式を継続することになりそうです。
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